シネマサロン「瞳をとじて」(Cerrar los ojos) By 松本益代
2024年2月24日
シネマサロン
「瞳をとじて」 (Cerrar los ojos)
監督・Víctor Erice 2023、スペイン
ビクトル・エリセ監督の31年ぶりの新作。
「親友の失踪と記憶をめぐるヒューマン・ミステリー」とされている。
冒頭、「別れのまなざし」(La Mirada del Adiós)が映写され、老ピアニストが上海に残してきた娘を探してくれるよう写真を渡して依頼するが、その相手で主演俳優・フリオ・アレナスが撮影中に失踪してしまう。
それから22年、当時の監督で親友ミゲルは未解決事件を取り上げるTV番組「Los Casos」に出演し、取材に協力して広く情報を求める。かっての小道具(貸倉庫に預けててある)やフィルムを確認し、フリオの娘・アナや彼の元恋人にも会う。アナは父親は生きているのではと思っている。ミゲルはフリオと共に過ごした青春時代と自分の半生を丹念にたどってみるが、映画撮影の最後の頃にフリオがセリフ覚えに困っていたことなどを思い出す。
TVの反響で「似た人がいる」との情報から、ミゲルは海辺の老人施設へ向かう。
フリオは保護されていて、大工仕事などをしていたが、記憶は完全に消失していた。所持品に先の映画の小道具として使われた娘の写真とチェスの駒(王)があるが(ここでフリオと半ば確信する)、ミゲルを見ても、アナに会ってもフリオは知らん顔をしている。。本人確認の最後の手段として、「別れのまなざし」をフリオに見せることに。ミゲル、アナ、施設の修道女達の見守る中、映写機がゆっくりと映像を写しだす。依頼された娘が見つかり、老ピアニストは彼女を抱きしめた後倒れてしまう。皆息をつめて最後の場面を見終わる。その瞬間にフリオが目を閉じてしまう。
彼の記憶は戻ったのか?
フリオとミゲルはある時期共に水兵として駆逐艦に乗っていた。ミゲルが紐で水兵結びを見せるとフリオはすぐに解いてしまう。Caravanchel(マドリッドにあった刑務所)に入っていたこともあったと、ミゲルはTV番組での自己紹介で話していた。Ceuta(モロッコのスペイン領・飛び地)という町の名前も出てきたが、これらはErice監督のフランコ時代を生き抜いた陰影深い思いが感じられる。また映画はデジタルに変わってしまったが、フィルム映画の大切さも表現されていると思う。
「ミツバチのささやき」の名子役・アナ・トレントが(約50年後にエリセ監督の映画に)、フリオの娘として、プラド美術館の学芸員として働いているという設定にも時間の経過が感じられる。 松本益代
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